市長出席の全体説明会
ゴミ処理場建設問題がこれほど大きくなるまで、
市長は宅野に来なかったのだ。
しかし結局、「建設ありき」「宅野ありき」の姿勢は変わらず。
「自治会長会に取りまとめてもらいたい」との姿勢も変わらず。
賛成する住民の側もこれに呼応し、
「市長さん、はよ作っておくれよ」と言い出す始末。
驚くことに、
その発言に拍手が起こるのだ。
自治会長は市に対して、
「自治会長会でこの問題について賛否を取りまとめることはできない」
といった苦渋の発言をした。
それに対しても、賛成する住民は
「自治会で取りまとめをやってくれ」と引き下がらない。
最後には、市長の口から、
「自治会で意見の集約をする方向でどうか」との発言まであった。
各自治区では、世帯単位でしか意見の集約はできない。
世帯主が賛成でも、奥さんや子どもたちの意見がそれと同じとは限らない。
しかし、自治会のとりまとめではそうした意見を吸い上げることは不可能なのだ。
ましてや、こうした体制べったりの「むら社会」にあっては、
地区の寄り合いの中で反対意見を述べることは、
陰でどんな噂を立てられることか、
そのことを思うと、とても勇気のいることには違いないのだが。
今後30年間も不燃ごみを埋め立てようという施設を、ありがたく受け入れる住民たち。
それに対して、思っていることさえ口に出せない住民たち。
それでも、真実は伝えていかなくちゃいけないのだ。