説明不足 不信感を増幅(H21.05.13 中国新聞)
■平成21年5月13日 中国新聞
宅野のごみ処分場建設
補正予算案を可決
大田市議会
大田市議会は12日、臨時会を開き、仁摩町宅野への不燃ごみ処分場
建設に向けた測量調査などの補正予算案を全会一致で可決した。白紙
撤回の運動や地権者の反対もあり、市が目指す2010年度着工、13年
度供用開始までには曲折も予想される。
市は当初予算への計上を見送っていたが、3月末に宅野地区自治会町
会が同意書を提出したため「地元合意を得られた」として、予算化に踏み
切った。
可決した本年度の測量調査や基本設計などの事業費は約1億1千400万
円。12年度までの造成・建設費など総事業費は計37億円で、下水道接続
などの費用を見込んでいなかった従来の想定より約11億円増えた。
白紙撤回や第三者機関による候補地再選定を求める「宅野の自然と生活
環境を守る会」の山上光俊代表は「住民の意見集約に基づかない自治会
長会の同意書を盾にした非民主主義的なやり方だ」と批判。今後も測量調
査阻止などの運動を続けるという。
説明不足 不信感を増幅
<解説>
大田市は、自治会町会の同意とこの日の予算可決で、形式的には処分場
建設に向けた民意の賛同を得た。だが、説明不足は明らかだ。
地権者50人への戸別あいさつは7日に始めたばかりで、まだ4割どまり。昨
秋からの一般住民向け説明会も、市議会特別委や市が候補地を宅野に絞
った後の開催で、不信感を生む原因となった。
総事業費が約11億円膨らむことも、市議会はこの日の議案で初めて知った。
特別委の候補地選定時には、宅野は5カ所中で最少の26億1千万円だった。
選定の前提が覆ったにもかかわらず、議会も追及が甘かった。
来秋にも市内3カ所の処分場が満杯になり、代替施設の整備が急務という事
情は分かる。だが、説明不足のまま事業を進めては反対する地権者は心証
を害するばかりだ。建設が長引けば、膨らむコストは結局、市民にはね返る。