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2009年6月29日

地権者反対 見えぬ行方 (H21.06.29 中国新聞)

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■平成21年6月29日 中国新聞
現場報告2009
仁摩のごみ処分場計画
地権者反対 見えぬ行方
説明後回し 不信感増幅


大田市が仁摩町宅野への建設を決めた不燃ごみ処分場計画が、地権者の
反対で揺れている。地権者説明を後回しにし、団体交渉に応じない市の手法
に反対を強める反対派は、7月に始まる測量調査にも協力しない方針。
市の行政手法が、合併前の旧仁摩町と大きく異なったのも不信感を生んだ
背景にある。

現場報告2009
仁摩のゴミ処分場計画

14日開かれた初の地権者説明会。ただ一人発言した男性は、市に協力する
立場ながら「ガチガチに固めてから話に来られた」と不快感を隠さなかった。
反対する住民団体「宅野の自然と生活環境を守る会」(山上光俊代表)は招
かれず、同会を交渉窓口にする反対地権者7人は欠席。市は、話し合いの
機会を逸した。

来月から測量調査

新処分場は、来秋にも満杯になる市内3カ所の処分場の代替で、日本海に面
した宅野地区の山林など約5ヘクタールに事業費約37億円で建設。2013年度
稼動に向け、市は7月から測量調査に入る。

これに対し、「守る会」は、住宅密集地から500メートル程度しか離れていない
点などを理由に白紙撤回と候補地の再選定を主張。先に出された自治会長会
の同意書についても「住民に知らされないまま作成された」(山上代表)とし「地
元同意を得た」とする市を批判する。

自治会の同意後に地権者44人に個別説明した市の手法に、「守る会」メンバー
の地権者女性(75)は「『お上に従え』の意識がありありだ」と憤る。

市は、自治会の同意後に地権者を説得し処分場建設にこぎ着けた旧大田市と
旧温泉津町の前例を念頭に置く。市民生活部の冨田正治部長は「地元が認め
ないものを地権者に説明しても仕方ない。昨秋の住民説明会でも自治会の同
意を得て進める考え方を示し、異論は出なかった」と話す。

だが、処分場建設に中立の立場をとる地元有力者は「旧仁摩町では、ごみ処
分場や火葬場などの建設に際してまず町幹部らが地権者を回った」と証言。
「住民との対話集会も定期的に開かれ、町民とトップが近かった。そうした行政
文化の違いに配慮する視点が今の市には欠けている」と指摘する。

対話努力が不可欠

私有地への立ち入りが必要な測量や地質調査が始まる7月が迫っても、対話
の兆しはない。5月中旬にあった反対地権者の申し入れでは、竹腰創一市長
が「守る会と話すことはない」といったん同席を拒む場面もあった。
今月24日には、拒否を通告している戸別訪問があったとして反対地権者たち
が市に公開質問状を出すなど、さらに態度を硬化させた。

「守る会」によれば反対地権者7人は、建設用地約5ヘクタールの3分の1に相
当する1・6ヘクタールを所有するという。同意がなければ建設できないことは
明らかだ。

市の後手の説明が混乱を招いた以上、市が測量調査など建設準備をいったん
中断し、対話の努力を積み重ねるしか打開策はない。

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