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2009年10月17日

既存施設満杯 どう打開 (H21.10.16 読売新聞)

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■平成21年10月16日 読売新聞

 大田の飛躍へ【下】 -市長選を前に
既存施設満杯 どう打開
ごみ処分場建設に反対運動


大田市中心部から車で約15分。国道9号から日本海に向けて市道を進むと、
山林のあちこちで、「測量調査お断り」と書かれたオレンジ色ののぼりが目に
付く。市が2013年度の供用開始を目指して計画した、同市仁摩町宅野の不
燃性ごみ処分場建設予定地だが、一部住民らが反対の姿勢を強めている。

計画されたのは既存の市内3か所の処分場の代替施設。07年8月~08年
5月に市全域から10か所の候補地を抽出後、5か所に絞り込み、候補地ごと
に自然環境、生活環境、財政の3項目で評価点を付けたところ、宅野が最高
点だった。

市議会新不燃物処分場用地選定検討特別委員会(議長を除く22人)は昨年
8月、宅野地区を最終候補に決めた上で11月から住民説明会を重ね、3月末
には自治会町会の同意書も取り付けた。


計画を知った一部の住民が建設反対の「宅野の自然と生活環境を守る会」を
結成したのは、昨年12月。翌1月14日の住民説明会で、同会の山上光俊代
表らは「建設予定地から民家まで300メートルしか離れておらず近すぎる」な
どと白紙撤回を訴えたが、市側は「現在の大田不燃物処理場と近接する民家
は100メートルの距離ながら、適正な管理が行われている」と安全性を強調、
平行線をたどった。

山上代表は「私たちは、上からの押しつけではなく、住民や学識経験者を交え
て候補地選定をやり直そうと言っている。より安全で経済的な施設を最適地に
造るため協議の場を求めている」とする。

市によると、既存3施設の残容量、早ければ来秋に満杯になる可能性がある
という。市は、詳細な残容量の調査を始める一方、既存施設のかさ上げによ
る延命や民間事業者への委託処分の検討も始めた。ただ、市民生活部の冨
田正治部長は「かさ上げには地元住民への説明が必要で、宅野の見通しが
つかなければ理解を得られるかどうか分からない。委託処分も予算がかかる」
と頭を悩ませる。

市議会は5月、臨時会を開き、測量調査費など建設に向けた約1億1400万円
を可決。市は7月から現地で調査を始めたが、44人のうち数人の反対地権者
の土地には立ち入れないままだ。

また、同日の議会では、候補地選定時には、5か所で最少の26億1500万円
だった事業費が、約37億円に膨れあがると報告された。市側は、土壌汚染を
防ぐ遮水シートを最高水準のものにすることや、下水道整備などを理由にあ
げたが、傍聴した反対住民は「選定の前提が覆った」と市への不信感を募ら
せた。

市側は「地権者に誠心誠意説明して、理解を得るしかない」とするが、守る会
との協議の場は検討していない。行き詰まり感が漂う計画に打開策はあるの

か。残された時間は多くない。

 
市は、「誠心誠意」の使い方を意図的にはきちがえているとしか思えない。
つまり、市側の「説明」とは、建設推進のための「説得」でしかなく、市民との話
し合いを一方的に拒否する姿勢の、どこにも「誠意」など見られない。

住民説明会を始めた昨年11月には、すでに37億円の事業費の見積りが出て
いたことも明らかになっている。にもかかわらず、住民には「26億円の事業費
がもっとも安価であったから」と、候補地選定の理由を説明して回った大田市。

こうした行為の、どこに「誠意」が見られるというのか。
また、当初見積りより11億円も上回るずさんな事業計画をすんなりと可決する
市議会は、果たして機能しているといえるのだろうか。

 

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