大田をよくしたいNews 第002号
2011年4月3日発行
「えっ、宅野にゴミ処分場 !?」
それは、ふってわいたような話
仁摩町宅野は世帯数が250ほど、過疎高齢化が進む海辺の小さな部落です。
ここに巨大なゴミ処分場の建設が計画されていることを知ったのは、すでに
宅野が最終候補地として決定された後の住民説明会の席上でした。
大田市からは、利便性と経済性で宅野が最終候補地になったと説明されま
した。しかし、他の候補地と比べて最も安価だったとされる総事業費約26億円
は、議会を通過した時には、約37億円にもふくれあがっていました。
ゴミ処分場建設が計画されている場所は、昔から水が湧き、土砂崩れがたび
たび起こるような脆い地盤のところです。また、流れ出た水がやがて海に達す
るような地形です。
それに、住宅密集地から、僅か300mしか離れていない場所なのです。
何故こんなところにゴミ処分場を作らないといけないのでしょうか。
私たち住民は、本当に何も知らされていませんでした。この計画は、最初から
何かがおかしいのです。
住民の知らないところで、まるで大きな力が働いているかのように候補地が
手際よく絞り込まれました。そして住民の心配をよそに、本来なら真っ先に反対
するはずの漁協や地元市議、自治会役員らが当初から建設推進を支持し、建
設受諾の合意形成も、外堀から順番に行われていきました。
「住民説明会」では、素朴な疑問を投げかけようとする住民に、建設推進派か
らヤジや怒号が飛び交います。
行政のこうした一方的なふるまいに対して、私たち住民は対抗できる知恵を
持っていなかったのです。
宅野の自然や生活環境が保全されるようなきちんとした説明がほしいと要求
しても、大田市は根拠のない「安心・安全」を強調するだけでした。
そうして、計画に反対する住民を追いつめながら、なしくずしに用地買収が進
められ、巨大なゴミ処分場の建設計画が着々と進められてきたのでした。
情報公開を求めてわかったこと
しかし、その間に私たちも少し勉強しました。専門家の協力も得て、「いったい
何がおかしいのか」を細かく検証していくことにしました。 そして、だんだんわ
かってきたことがあります。
まず「候補地の選定方法がおかしい」ということです。
廃棄物最終処分場の建設は、環境破壊や有害物質の流出事故等も想定さ
れることから、住民の生活環境の保全を最優先に考慮する必要があります。
そのためには、候補地の選定から住民や専門家が参画し、検討を重ねる必
要があります。しかし、大田市はこの手続きを踏みませんでした。
市職員のみで構成する検討委員会が候補地を絞り、市議会議員のみで構
成する特別委員会で最終候補地が決められました。そのことが情報公開制度
によって入手した議事録でわかりました。
また、他と比べて最も安価であるとされた26億円の建設費が、議会の通過
時には37億円に増額されていたこと。それも議会でほとんど質問もなく可決
されていたことに、驚くばかりでした。
急激な人口の減少が予想される大田市で、今後30年間も埋め立てるような
巨大な最終処分場が、いったい何故必要なのでしょうか。この莫大な建設費
はそのまま有利子負債となって、やがて市民に重くのしかかってくるのですか
ら。
やっぱりおかしい市民軽視の体質
ゴミ処分場の建設が身近な問題として迫ってくるまでは、私たちも市政につ
いて真剣に考えることはありませんでした。市役所は市民のために働いて
くれていると信じていたのです。
しかし、調べれば調べるほど、市民を軽視した市政が行われていることに
気づかざるをえませんでした。
このことは「大田をよくしたいNEWS 001号」、「ダイオキシン特集号」に詳
しく掲載していますが、例えばゴミ処分場建設に先立って行われた「生活環
境影響評価調査」も、市民に縦覧された報告書は概要書のようなものだけ
で、都合の悪いデータは一切公表されていないのです。
市立病院の問題や断水事件など、最近大田市の不手際がとみに目立つよ
うになりました。
ゴミ処分場の問題も根は同じです。こうした市民軽視の市政を根本的に変え
ないかぎり、大田市に明るい未来はありません。よりよいまちづくりのために、
共に力を尽くしていきましょう。