大田をよくしたいNews 「ダイオキシン特集号」
大田をよくしたいNews 「ダイオキシン特集号」
2011年3月30日発行
史上最強の毒物「ダイオキシン」
処分場計画地に基準値の6.9倍!
001号のニュースでもお伝えしましたが、仁摩町宅野に計画されている
ゴミ処分場の環境調査によると、計画地を流れる河川水から、最大で
環境基準値の6.9倍という高い数値のダイオキシン類が検出されました。
ダイオキシンというのは、史上最強の毒物だといわれています。ベトナム
戦争の時にアメリカ軍が用いた枯れ葉剤に含まれていたのがダイオキシ
ンで、戦争後に奇形児の出生率が大幅に高まったことから注目を集めま
した。
また、日本でも「カネミ油症」の公害事件が発生しています。この時には
食用油に混入したPCBが加熱によってダイオキシンに変化し、様々な
健康被害を引き起こしました。 このダイオキシンがどこから作られるか
知っていますか。実はその多くは「ゴミ処分場」からなのです。ゴミを燃やし
た時に出る煙や最終処分場に埋められる燃やした後の灰。このふたつに
大量のダイオキシンが含まれているのです。
では、そのダイオキシンはどうやって人間の体内に入るのでしょうか。
ダイオキシンは、空気中や土壌を汚染し、それが河川などを伝って海に
流れ込みます。それから自然界の食物連鎖よる「生体濃縮」が行われて
いくのです。
海に流れ込んだダイオキシンを小さなプランクトンが、そのプランクトンを
魚が、その魚を人間が、という風に自然の食物連鎖の過程で、より高濃
度のダイオキシンになり、やがて人間の体内に取り込まれていくことにな
ります。
そして、最も怖いのが赤ちゃんへの影響です。20年、30年とお母さんの
体内に取り込まれたダイオキシンは、何と胎盤や母乳を通じて生まれて
くる赤ちゃんに送り込まれてしまうのです。
ダイオキシンは、そのほとんどが食物から体内に取り込まれます。その
中でも日本人は魚介類からの摂取が多いのです。
今回の計画地は海のすぐ側。その河川から高濃度のダイオキシンが
検出されたことは、私たちの健康に直接影響を及ぼしかねない大きな
事件だといえます。
しかし、何故でしょう?大田市はこの事実を市民に公表しませんでした。
これが不法投棄なら犯罪です!
しかも、現地調査で検出された有害物質は、ダイオキシン類だけではありませ
ん。土壌からは環境基準値を超えるヒ素や鉛、重金属等も検知されています。
また地下水PHも3.5~4.0と強い酸性が観測されているのです。
いずれもこの地域ではあり得ない検査結果であることから、計画地内には、焼
却灰や飛灰、廃酸等を含む大規模な不法投棄が行われた可能性があります。
不法投棄の疑いがある現場は、計画地の海岸道路沿いです。当初、谷地形で
あったところが、道路面の高さまで埋められた状態になっており、上部からも残
土に混じった廃棄物が大量に含まれていることが確認できます。
海の側なので、魚介類への不法投棄汚染の影響が心配されます。アジやサバ
等の近海魚ほど、ダイオキシン濃度が高いといわれているからです。
大田市には、島根県や警察と協力して、速やかに不法投棄の現場確認を行い、
違反者の摘発と汚染原因の把握、そして除染を強く要請します。
サビキで釣ったアジくらい、持ち帰って安心して食べたいものです。
専門家が不在?
大田の処分場
いろいろと調べるにつけ、どうしても考えてしまうのが、大田市の危機管理
の甘さです。
既存の処分場の地下水においても環境基準値を超えるダイオキシン類が
検出されたことは、001号のニュースでも取りあげました。そのことを指摘
した際の大田市からの回答に、「ダイオキシン類の検出は周辺環境(地層)
に含まれるSS(浮遊物)の影響により、SSに含まれたダイオキシン類を水
質として検出していたものと考えております」という表現がありました。その
SSを除去したら基準値以下になりました、とあるのです。
えっ?ちょっと待ってください。
そもそもダイオキシンはSS(浮遊物)に吸着して移動するものです。だから、
これを測定して正解なのです。除去すれば、測定する意味がなくなるのです。
どうしてこんな笑い話のような回答がくるのかと調べたら、大田市の処分場
には、法律で定められている技術管理者が一人もいないことがわかりました。
市民の安全や生活環境の保全を第一に考えるべき処分場の職員が、ダイ
オキシンの基礎知識さえ持っていないなんて、まったくもう笑い話にもなりま
せん。