計画地の汚染物質に関する再調査
計画地の汚染物質に関する再調査について、住民説明会がありました。
配布資料の表題は、「都市計画決定に係わる説明会」ということですが、工事の
着工は、当初計画より1年間ずれこんだスケジュールとなっています。
昨日の新聞でも、「環境影響調査に手間取った」という表現がありましたが、
それは裏返せば、住民からの指摘がなければ、汚染の調査さえせずに強行に
建設を進めたのではないかとさえ思われます。
当日の配布資料は、こちら。
この中で、計画地の汚染物質に関する再調査の報告内容は1ページだけでした。
+疑問点1
再調査でもダイオキシン類が検出されたことについて、
「環境基準を上回った2地点において、採取した水をろ過したところ、いずれも
環境基準を下回った」と表記されています。
これはいったいどういうことでしょう。普通に計測して基準値以上に検出された
ダイオキシン類を、ろ過して計測し直して、基準値以下になりました、と主張す
ることが信じられません。
そもそも、ダイオキシンは水に溶けにくく、浮遊微粒子に付着して移動する性質
のものです。それを無視した計測値にいったい何の意味があるのでしょう。
+疑問点2
このダイオキシン類に関して、耐容一日摂取量(TDI)の1日および体重1kg当た
りの摂取量が4pgであることを持ち出し、あたかも検出されたダイオキシン類の
数値が微小であるかのような説明がありました。
しかし、耐容一日摂取量(TDI)の4pg/kg/日と環境基準値の1pg-TEQ/リットルを
単純に比較するのは、とんでもないまやかしです。
何故なら、環境に放出されたダイオキシン類は、食物連鎖による生物濃縮を経て、
人間の口に入る魚類では、濃縮されたダイオキシン類が280万倍にも達している
からです。環境基準値を低く抑えているのには、こうした事実があるからです。
このような数値でのごまかしは、原発事故において政府が行っていることと全く同
じ性質のものだということがわかります。哀しいことに、人の生命よりも利権構造の
維持を優先する行政なのです。
+疑問点3
汚染の原因についての言及が文中にはまったくありません。
口頭では、過去に使用された農薬の影響だと主張していましたが、計画地内で
田畑が盛んに作られていたのは、戦後の困窮の時期であり、その言い訳がまっ
たくの事実無根だということがわかります。
大田市は、川上にある不法投棄の事実を認めたくないようですが、道路側の広
範囲の盛土が民間業者による産業廃棄物の不法投棄であることは、地元の住
民なら周知の事実です。
表土は土砂で覆っているものの、イノシシが少し掘っただけでも、不法投棄のガ
レキが顔を出すので、隠しようがありません。
この産業廃棄物を地下水が洗って、10年、15年と経過するうちに、ダイオキシン
類、ヒ素、鉛等の有害物質がしみ出していると考えるのが妥当です。
この原因を放置しておいて、出てきた有害物資を処置したところで、まったく意味
がありません。まず、原因物質を取り除き、無害化処理をすることが先決です。
もちろん、処分場建設そのものの安全性に関しても、問題点が山積している状況
は、これまでと何ら変わっていません。
今日の説明会でも、大田市内からの参加者が、非常にシンプルで的確な質問を
投げかけていました。
「埋立てピットのコンクリートの耐久年数は何年ですか」との質問に「約50年です」
と、「では、耐久年数が切れた50年後にはどういう処置をするつもりですか?」
このシンプルで的確な質問には、さすがに市の担当者も答えに窮して、「きちんと
覆土して埋め立てるので大丈夫です」といった的はずれな発言しかできませんで
した。
そもそも、、幅が105mものコンクリートの固まりを大地に広げるのです。少しの地
盤のズレでも、コンクリートに亀裂が生じるのは容易に想像できます。
また、そうでなくても、現地の脆くて酸性の強い地盤ではコンクリートが50年も耐え
られるのかがまったく疑問です。
先日の現地調査においては、既存の処分場三施設においても、ダイオキシン類や
重金属類が垂れ流しの状態である可能性が高いことが確認されました。
さらに、新処分場が建設される前から、宅野においてもこうした汚染物質が海に溶
出していることが再確認されたわけですから、これは本当に大変なことです。
仁摩の魚、貝、ワカメ、海苔等の、ダイオキシン類、重金属類汚染は、まさに現在
進行中なのです。宅野だけの問題ではありません。
風評被害ならまだしも、実際に仁摩の海が汚染され続けているのです。
大阪や京都の都会の人たちは、この事実を知っても、今までどおり山陰の魚を買っ
てくれるのでしょうか?
大田市は、今これをストップさせないで、いったいどうするつもりなのでしょうか?