« 2011年6月 | メイン | 2011年10月 »

2011年8月 6日

計画地の汚染物質に関する再調査

110806_setsumeikai.jpg

 
計画地の汚染物質に関する再調査について、住民説明会がありました。

配布資料の表題は、「都市計画決定に係わる説明会」ということですが、工事の
着工は、当初計画より1年間ずれこんだスケジュールとなっています。
昨日の新聞でも、「環境影響調査に手間取った」という表現がありましたが、
それは裏返せば、住民からの指摘がなければ、汚染の調査さえせずに強行に
建設を進めたのではないかとさえ思われます。


当日の配布資料は、こちら

この中で、計画地の汚染物質に関する再調査の報告内容は1ページだけでした。

 
110806_haihu_7.jpg

 

+疑問点1
再調査でもダイオキシン類が検出されたことについて、
「環境基準を上回った2地点において、採取した水をろ過したところ、いずれも
環境基準を下回った」と表記されています。
これはいったいどういうことでしょう。普通に計測して基準値以上に検出された
ダイオキシン類を、ろ過して計測し直して、基準値以下になりました、と主張す
ることが信じられません。
そもそも、ダイオキシンは水に溶けにくく、浮遊微粒子に付着して移動する性質
のものです。それを無視した計測値にいったい何の意味があるのでしょう。

+疑問点2
このダイオキシン類に関して、耐容一日摂取量(TDI)の1日および体重1kg当た
りの摂取量が4pgであることを持ち出し、あたかも検出されたダイオキシン類の
数値が微小であるかのような説明がありました。
しかし、耐容一日摂取量(TDI)の4pg/kg/日と環境基準値の1pg-TEQ/リットルを
単純に比較するのは、とんでもないまやかしです。
何故なら、環境に放出されたダイオキシン類は、食物連鎖による生物濃縮を経て、
人間の口に入る魚類では、濃縮されたダイオキシン類が280万倍にも達している
からです。環境基準値を低く抑えているのには、こうした事実があるからです。

このような数値でのごまかしは、原発事故において政府が行っていることと全く同
じ性質のものだということがわかります。哀しいことに、人の生命よりも利権構造の
維持を優先する行政なのです。


+疑問点3
汚染の原因についての言及が文中にはまったくありません。
口頭では、過去に使用された農薬の影響だと主張していましたが、計画地内で
田畑が盛んに作られていたのは、戦後の困窮の時期であり、その言い訳がまっ
たくの事実無根だということがわかります。
大田市は、川上にある不法投棄の事実を認めたくないようですが、道路側の広
範囲の盛土が民間業者による産業廃棄物の不法投棄であることは、地元の住
民なら周知の事実です。
表土は土砂で覆っているものの、イノシシが少し掘っただけでも、不法投棄のガ
レキが顔を出すので、隠しようがありません。
この産業廃棄物を地下水が洗って、10年、15年と経過するうちに、ダイオキシン
類、ヒ素、鉛等の有害物質がしみ出していると考えるのが妥当です。
この原因を放置しておいて、出てきた有害物資を処置したところで、まったく意味
がありません。まず、原因物質を取り除き、無害化処理をすることが先決です。

もちろん、処分場建設そのものの安全性に関しても、問題点が山積している状況
は、これまでと何ら変わっていません。
今日の説明会でも、大田市内からの参加者が、非常にシンプルで的確な質問を
投げかけていました。

「埋立てピットのコンクリートの耐久年数は何年ですか」との質問に「約50年です」
と、「では、耐久年数が切れた50年後にはどういう処置をするつもりですか?」

このシンプルで的確な質問には、さすがに市の担当者も答えに窮して、「きちんと
覆土して埋め立てるので大丈夫です」といった的はずれな発言しかできませんで
した。

そもそも、、幅が105mものコンクリートの固まりを大地に広げるのです。少しの地
盤のズレでも、コンクリートに亀裂が生じるのは容易に想像できます。
また、そうでなくても、現地の脆くて酸性の強い地盤ではコンクリートが50年も耐え
られるのかがまったく疑問です。


先日の現地調査においては、既存の処分場三施設においても、ダイオキシン類や
重金属類が垂れ流しの状態である可能性が高いことが確認されました。
さらに、新処分場が建設される前から、宅野においてもこうした汚染物質が海に溶
出していることが再確認されたわけですから、これは本当に大変なことです。


仁摩の魚、貝、ワカメ、海苔等の、ダイオキシン類、重金属類汚染は、まさに現在
進行中なのです。宅野だけの問題ではありません。
風評被害ならまだしも、実際に仁摩の海が汚染され続けているのです。
大阪や京都の都会の人たちは、この事実を知っても、今までどおり山陰の魚を買っ
てくれるのでしょうか?

大田市は、今これをストップさせないで、いったいどうするつもりなのでしょうか?

2011年8月 4日

ダイオキシン類再検出 (H23.08.04 中国新聞)

chugoku_110804.jpg

  
ダイオキシン類再検出
仁摩の処分場予定地付近の川
大田市調査 基準の倍

 
大田市は3日、同市仁摩町宅野の小規模河川で、環境基準値を超える
ダイオキシン類を検出したと発表した。

市の不燃物処分場予定地付近から湧きでた水で、環境基準値の約2倍
の濃度だった。この川では、2009~10年の調査で、高濃度のダイオキ
シン類を検出。市が5月から再調査していた。

市によると、川の3カ所で水を採取。うち2カ所で水の環境基準(1リットル
当たり1ピコグラム)を上回る2・3から2・1ピコグラムを検出した。残る
1カ所は0.5ピコグラムだった。

市は原因について「川の周辺は農地だった場所で、農薬の散布や野焼き
の影響が考えられる」と説明。有害物質などの不法投棄は確認できなかっ
たとしている。

処分場建設については、予定通り12年4月に着工する方針。処分場に水
質調整池を設け、環境基準を満たした水だけを放流する計画でいる。

一方、建設に反対する住民団体「大田の自然と生活環境を守る会」の西
尾功代表は「予定地の土壌汚染が確認された。このまま建設すれば、処
分場で汚染物質の流出事故が起きた場合、原因を特定できなくなる。」
と指摘している。


 
出てはいけないところからダイオキシン類が検出された場合、「農薬由来
である」と釈明するのが、不法投棄を認めない一般的な理由のようです。
しかし、16年も前に製造禁止になっているダイオキシン含有農薬を、いっ
たい誰が使ったというのでしょうか。

ダイオキシン類や重金属類が検出された川上には、大量の産業廃棄物と
思われる不法投棄があるのですから、そこから有害物質が湧出したものと
考えるのが妥当でしょう。

不法投棄を認めてしまうと、工事に大きな支障が出ることを恐れているの
でしょう。しかし、簡単なトレンチ調査をすればはっきりすることです。不法
投棄の事実を曲げることはできません。

この有害物質は、今までもこれからも、海を魚介類を、汚染し続けています。
一刻も早く原因物質の除去に着手することをのぞみます。

大田市が、処分場建設の着工を延期。

chuoshinpo_110804.jpg

 
平成23年8月4日 山陰中央新報
14年4月頃開始
大田市が見通し示す

 
大田市仁摩町宅野地区の新不燃物処分場建設計画で、同市は3日、
処分場の供用開始が、当初計画から1年遅れとなる「2014年4月頃」
とのスケジュールを、市議会全員協議会で示した。

処分場は、総容量5万立方メートルの屋根付きピット1基で、長さ105m、
幅40m、深さ14m。

市は当初、13年4月の供用開始を目指していたが、昨年9月、建設
位置変更に伴い同年10月に変更。その後生活環境影響調査などに
手間取り、さらに半年遅れるという。着工は12年4月。

全協では建設計画に反対する住民団体の指摘を受けて追加実施して
いる建設候補地内の土壌、水質調査の中間報告もあり、市は、ヒ素、
鉛、ダイオキシンとも、現段階でいずれも環境基準値を下回っていると
説明した。


 
何故、大田市は事実を曲げて伝えようとするのでしょうか。

全協の配布資料においても、
「ボーリングコア分析から、ヒ素(0.029mg/リットル)、鉛(0.015mg/リットル)
が検出された(いずれも環境基準は0.01)」とあります。
また、ダイオキシン類に関しても、検査した3カ所のうち、2カ所で、
「SR-1で、2.1pg-TEQ/リットル、SR-2で、2.3pg-TEQ/リットルが検出され
た(いずれも基準値は1pg-TEQ/リットル以下)」とあります。

また、ダイオキシンについては、濁水成分に付着したダイオキシン類をろ過
して計測したら、基準値以下となった、と報告しています。
実際に検出されているダイオキシンを、ろ過して取り除いて、再び測り直した
ら基準値以下となりました、というインチキは、まるで子どもだましのようです。

さらに、なぜ重金属類やダイオキシン類が検出されるのかの説明がない。
ダイオキシン類が検出されている以上、人為的な行為(不法投棄)があった
ことは明白です。重金属類もその埋立物からの溶出と考えるのが妥当です。

不法投棄から溶出された有害物質は、伏流水によって海に垂れ流しの状態
になっています。このままでは、魚介類への深刻な影響が考えられます。
これを放置したままにして、原因物質を除去することなく、強行に計画を進め
ようとするのは、やっぱりいけないことです。

ダイオキシンや重金属に汚染された魚介類を食べたいとのぞむ人は誰もいま
せん。海の汚染の是非は、市の判断なんかで決められるものじゃない。