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執行部からの要請により、平成20年6月17日の市議会で設置された「大田市新不燃物処分場用地選定検討特別委員会」は、議長を除く22名の議員全員で構成される異例の委員会でした。
同年7月3日、7月23日、8月6日のわずか3回のみで解散した検討委員会は「検討」という名には程遠く、執行部によってあらかじめ点数付けがなされた5候補地の中から、最高点である「宅野」候補地を追認しただけのものでした。
議会のお墨付きだけを得んがための、執行部のこうした用意周到さにはまったく驚くばかりです。
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以下、「大田市新不燃物処分場用地選定検討特別委員会」記録における議員発言の抜粋です。
■平成20年7月23日
第2回「大田市新不燃物処分場用地選定検討特別委員会」
冒頭、有光孝次議員からの発言があった。
○有光委員 「確認したい。この委員会で審議する内容は用地選定に的を絞ることだと思うが、前回ではこれがあいまいであったように思う。」
○熊谷委員長 「用地選定に限定せよという意見だが。」
○中西委員 「的を用地選定に絞るべきだ。その上に立って今後の進め方としては建設スケジュールを伺う中で早期にこの場で方針を示すべきである。将来的に様々な問題も予想されるところだ。早期に選定すべきだ。」
○清水委員 「否定はしないが、26億円も要する事業である。用地買収費、前処理施設も含め全体的な予算内容を示してほしい。用地選定が第一義だが、そのことも進言すべきだ。」
○熊谷委員長 「この委員会の任務である。用地選定がこの任務である。これを逸脱すべきでない。既存の常任委員会もあるところだ。できる限りこれを逸脱しないでほしい。 〜後略」
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上記のように、委員会ではほとんど議論がなされない状況で、ただ用意された候補地から選ぶだけの委員会です。それも、あらかじめ点数付けの優劣が決まった執行部の資料だけをもとにするのですから、ほとんど検討の余地がないものです。
このように、まるで誘導尋問に近い状況下で、最終候補地「宅野」が決定されていきました。
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■同「大田市新不燃物処分場用地選定検討特別委員会」
○熊谷委員長 「それでは各委員から発言してほしい。」
○三浦委員 「評価点の上位のものを絞り込んでいくべきだ。」
○石田委員 「視察もした。大方の議員も評価点の高いところを判断されている。評価点の高いところである。」
○松村委員 「各地区の問題点を提起することも大事である。」
○小林委員 「この点数を覆す内容も持っていない。やはり評価点をもとにすべきである。」
○松葉委員 「5箇所の中から選定すべきである。一長一短あるが、上位のところから選定すべきだ。」
○河村委員 「用地選定は早期にすべきだ。早めに一つずつ進めるべきだ。」
○林 茂樹委員 「一点に絞って議論すべきだ。執行部の意向を聞き絞っていくことだ。」
○中西委員 「宅野が最適である。」
○内藤委員 「速やかに決定してほしい。上位2点の中では宅野である。景観、塩害が懸念されるが。不退転の決意で進められたい。」
○大西委員 「行政サイドと住民サイドとの考えが異なる場合が多い。2〜3箇所決められ、速やかに住民説明会に入られたい。1点に絞らず、2〜3点に絞り住民説明し推進されたい。」
○木村委員
「住民の理解と協力が必要である。評価点の高いところから選定され、住民説明に入られたい。」
○有光委員 「評価点の高いところから説明に入られたい。宅野から説明に入られたい。」
○吉原委員 「宅野に所属する議員である。きょうのところは承っておきたい。」
○福田実委員 「候補地C、Eはコンクリ擁壁が高いところだ。これはコストがかかる。Dは二次災害の危険性もあり、不適格。Bは電気、水道の引き込みが多額である。したがってAの宅野が適当である。」
○石橋委員 「視察も先般行ったところだ。Aの宅野でやむを得ない。」
○清水委員 「活断層、利便性を考えた場合、E、Dは避けるべきだが、生活環境面を考えると点数に差異がない。当委員会として候補地を1箇所に絞り込むのはどうか。」
○熊谷委員長 「1箇所かどうかということだ。速やかに造成に入りたいが、複数で進められれば駆け引きも出てこよう。議会としては1箇所に絞り、執行部としてはこれを踏まえ、不退転の決意で臨むべきと思う。1点に絞り込むべきだ。」
(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○月森副委員長 「私も1箇所に絞り込むべきと思う。利便性、経済性を見ても宅野である。被覆型でもある。住民の理解を求めてほしい。議会としても応援したい。」
○吉原委員 「決まったことに対しては、皆さんとともに頑張りたい。」
〜後略
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住民への情報提供がまったくできていない段階で、正副委員長が「不退転の決意で臨むべき」との発言はどうしたことか。
これに対して、地元の吉原幸則議員は「皆さんとともに頑張りたい」と発言しています。本来であれば、「地元住民と相談して慎重に判断したい」といったん持ち帰るべきものであり、この場での勝手な判断は、まさに住民への裏切り行為と呼ぶべきものです。
さほどに、住民不在の場で決定されていった「宅野」候補地の、どこに正当性や公平性があるというのでしょうか。
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■平成20年8月6日
「大田市新不燃物処分場用地選定検討特別委員会」
○木村委員 「地元の理解が大事であると前回は述べたところだ。各議員が地元の意見を集約されたのか。また執行部として地元住民の意見をどのように把握されているのか。」
○冨田市民生活部長 「5箇所の住民の方に説明はしていない。状況は存じていない。この委員会での意見をいただく中で地元説明したい。」
〜中略
○塩谷委員 「通知表が配られてからの審査であった。上位の点差は2点であった。これがどういう差であるのか。これが今後逆転する可能性もある。住民の理解がないと進められない事業である。僅差の中で判断である。しかし、行政の評価の中で当るべきだ。議会としても今後チェックしていくべきだ。」
〜中略
○清水委員 「議会は意見具申するところだ。」
○熊谷委員長 「それは承知している。」
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このような経緯で、特別委員会においては「宅野地内が妥当である」との報告が、平成20年9月8日の市議会定例会でなされた。
さほどに、住民不在の場で決定されていった「宅野」候補地の、どこに正当性や公平性があるというのでしょうか。
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